マーケティングの4P
皆さんは、マーケティングと聞いてどんなイメージを持つでしょうか?
人によっては販売促進の事をイメージされたり、あるいは顧客ニーズ調査のイメージをお持ちの方もいらっしゃるかも知れません。もちろん、それらもマーケティング活動の一部には違いないのですが、マーケティングはもっと広い概念です。
かのドラッカーは、「企業の目的は顧客を創造する事」にあり、そのためにやるべき事は2つしか無い、それが「マーケティング」と「イノベーション」であると言っています。
今回はマーケティング施策として恐らく最も知られているであろう「4P」について書きたいと思います。「4P」とは製品【Product】・価格【Price】・流通【Place】・販促【Promotion】をまとめた言葉で、マッカーシーが1960年に提唱し、近代マーケティングの父とも言われるコトラーが使うようになってから広く一般化しました。

Productもマーケティング施策!?
私が30年ほど前の学生時代に「4P」を知った時、最初に覚えた違和感は製品【Product】が他の3つの施策と同列である事でした。
マーケティングは製品を売るための施策だと認識していたので、どんな製品にするかがマーケティングの施策である事に何か不思議な印象を持ったのです。
風邪の治し方を探していたら、基礎体力をつけろと言われたような違和感ですw
今、私はマーケティングを「企業と市場との接点におけるあらゆる活動」と認識しています。
そしてマーケティング活動は「事業」全体の中で捉えるべきだと考えるに至り、「4P」に対する当初の違和感はありません。
事業とは、詰まるところ「誰に」「何を」「どの様に」提供するかです。「何を」というのは「提供価値」であり、製品そのものではありません。
レビットが紹介した「ドリルを買った人が欲しかったのはドリルではなく穴である」という有名な言葉があります。顧客のニーズは「穴」であり、これに合致する提供価値は「穴を開ける手段」、ドリルという製品はその手段の一つという事です。
そう考えると、マーケティングの4Pとはターゲットに提供価値を効率よく伝えるための手段と考える事ができます。

4Pでボトルネックを考えよう
私が以前お手伝いしていた、ある乳幼児向け製品のメーカーは少子化で成熟しているマーケットにおいて、既存メーカーとは全く「提供価値」が異なる革新的な製品を販売していました。
製品【Product】は独創的でありとても魅力的、価格【Price】もライバル各社と同等で、当時としては最先端のWebマーケティング手法【Promotion】も取り入れており申し分ありません。それでもなかなか売れずに苦しんでいました。
勘の鋭い方ならもうお気づきの通り、この場合流通【Place】がボトルネックになっていたのです。
乳幼児向け製品のターゲットは、乳幼児自身では無く、そのご両親(または祖父母)です。ターゲット客は、自分たちに子供ができるまで乳幼児製品に全く興味を持っていないので、ほとんどの人が初心者です。初心者の行動特性として、なるべく多くの製品を見て比べられる量販店で買おうとする事が挙げられます。
この量販店チャネルを確保するのがとても難しかったんです。なぜなら既存メーカーが展示スペースを独占しており、割り込む隙間が無かったからです。
そこで、このメーカーでは時間をかけて全国の専門店チャネルを開拓し、当時の企業体力としてはかなりの無理をして自社直営店を構える等の手を打たなくてはなりませんでした。
独自のチャネルで徐々に実績が出始めると、量販店のバイヤーも交渉のテーブルについてくれる様になって、やっとヒット商品へと成長しました。
直営店にある程度お客様が来る様になった時に「このまま独自チャネルだけでもいけるのでは?」とも考えましたが、売上が伸びたのはやはり量販店での取り扱いが増えてからです。
皆さんが担当される事業のターゲットは誰ですか?提供価値は何でしょう?それらを繋ぐ施策として4Pの内、何がボトルネックになっているかを見つけて、その改善に注力してはいかがでしょうか?

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