マーケティングの近視眼
「マーケティングの近視眼」とは、ハーバード・ビジネス・スクール教授であったセオドア・レヴィットが1960年にハーバード・ビジネス・レビューで発表した概念です。企業が自社の事業戦略を検討する際に、自社の事業領域を狭く捉えてしまう事で、身近に起っている重要な変化を見過ごしてしまう状況を表しています。
例えば、映画制作会社はかつて自社を「映画を制作する会社」と定義したために、後に競合となるテレビやゲーム業界の台頭を過小評価し、エンターテーメント産業における劣等生になってしまいました。そんな中、ウォルト・ディズニーは自社を「総合エンターテイメント産業」と捉えたからこそ、ディズニーランドの展開やアメリカ3大ネットワークテレビ局のABCを買収する等、時代のニーズを捉えた事業展開ができたと考えられています。
事業領域を正しく捉える
とは言え、自社の事業を大きな概念で捉えれば良いかと言うと必ずしもそうではありません。事業領域の拡大は無理な投資を伴うケースもあるからです。中小企業の場合には、むしろ事業領域を絞った方がエッジの効いた事業展開が可能なケースもあります。
※詳しくは「ビジネスモデルをまとめよう」の項を参照
自社の事業領域の重要性は大手企業に限られた事ではありません。自社を取り巻く市場環境が停滞または縮小していると感じたら、自社は「誰に」「何を」提供するのか、正しく事業を定義しましょう。